雑感 - 香港人【6】  めがね屋で

日本で買ってきためがねがお尻の下で壊れてしまったので買わなければならなくなったときのことです。
以前めがね関係の仕事をしていたという香港人同僚がめがね屋を紹介してくれるというので彼と待ち合わせて出かけました。九龍湾にあるめがね屋さん。
測定をしてめがねを作ってもらうのを待つ間に、同僚の紹介だというので店の主人、そのお父さんなどと5人ほどで食事に出かけました。お父さんはそこそこ高齢で戦後香港に出てきた様子。普通の気のよいお父さんの上品なイメージできれいな北京語を話します。

食事が進んだときにお父さんは私に戦争時代、もちろん太平洋戦争の話をしました。アルバムを持ってきていて懐かしい戦争当時のある仲間の写真を見せながら説明してくれます。あいにく中国語の能力がついていきません。

そしてお父さんは日清戦争でどうして小さな日本に負けたのか不思議だ、と言います。ここへきてそれまで不愉快な顔を隠そうとしなかった若者たちの顔がお父さんに対していっそう批判的になり、空気を察したお父さんもトーンダウン。お父さんは私に「あなたは戦後生まれなのですね?」「そうです」と答えます。お父さんはそれで納得しようとするように話をおさめました。

このときのめがねは「JAPAN」の文字のあるチタン製フレームに日本製のプラスチックレンズ。500香港ドル(8000円)。今も健在、もう5年以上使っています。
九龍から香港島を (クリックしてください。 2004年4月撮影)
私はこういう話を持ち出されたことになんの不快感も感じませんが、言葉が思うに任せず自分の考えをうまく言えないのが残念でした。

もし、あるデパートでテレビを買ったけれども、テレビが故障。買ったデパートへ持って行くと、店員が変わっていて「私が売ったものではないから、私に責任がないのでどうしようもできない」と言われたら・・・・

私は戦後生まれ、直接戦争の責任はないと思っていますがこのデパートのように日本人として後のフォローをする責任はあると思っています。その代表者が政治家だとは思っていますが、私たちのような一般庶民としては普通に隣人として仲良くしていきたい気持ちでつきあえばいいと思っています。

マンションを探していた時、深圳のあんま屋にお茶の机を置いてお茶のサービスをしてくれるところがあって中国人の客たちとお茶をよばれながら話をしたことがありますが、政治の話になり、ある中国人に「小泉純一郎はタカ派だろう」と言われたことがあります。(彼は私の筆談帳に「日本鷹派」と書いたのでタカ派のことだと思います)
こういう話はこちらに長く住んでいると話題となるのは仕方のないことですが、自分の考えというのははっきりしておいた方がいいのでしょうね。

こちらに出てきている日本人に、たまにはっきりアジア蔑視していると思える人や言葉汚く香港、中国をののしる人を見かけますが、おそらくウマが合わないのでしょうね。ただ、現地人に限らず、ほかの日本人が聞いてもいやな感情を持つと思うのですが。

私はふるさとが奈良、家の周りには中国との関わりの遺産がたくさん残っていて小さいときから興味を持って見ているので中国に対するイメージは悪くないのです。もちろん個人差がありますけどね。